少女Sの
瞑想

一枚一枚に命がこもっている――なんてどこかの写真家が言っていた気がする。
そのことから考えると写真を撮られると魂を抜かれるというのはあながち嘘ではないのかもしれない。
写真は色褪せていく思い出を生きたものにする。
嬉しい顔。
悲しい顔。
怒った顔。
喜んだ顔。
すべてをその時のまま閉じ込める。
(…ま、数学の最中に考えることじゃないけどね。)
そう、今は数学の授業中。
先生が小難しい数式の説明をしているところだ。
しかし残念ながら集中する気は無く、大好きな写真のことを考えていた。
カメラ一つであらゆるものを表現し、残しておくことが出来る。
なんて素晴らしいものだろうか。
けど、ただ撮るだけでは意味が無い。
その瞬間にしかないものを残さなければ。
(たとえば…。)
視線の先には二人の幼馴染。
春野響は板書を写すのに必死のようだ。
あの顔からするにおそらく内容は理解していない。
ああいった必死な顔は授業の中でしかない表情だ。
もう一人の幼馴染、堀住結城。
彼は少々眠そうに黒板を眺めている。
…のもつかの間、彼は少女――春野響を見た。
そのまなざしは恋をしている瞳で。
(あんたは乙女か。)
そう突っ込みたくなるものだ。
じっと響から目を離さない。
しばらくしてから視線に気づいたのか、響は堀住の方を向いた。
そして少しの間二人は口パクで何か言い合っていた。
そのときの二人と言ったら。
なぜ今授業中なのだろう。
こんなシャッターチャンスをのがすなんて。
恋をしている表情と、
恋に無自覚な表情。
少女Sが両手で作った枠の中にはその二つが揃っていた。





―そのあと―

「ねえ」

「なにー?」

「何だよ」

「私がカメラを構えれないときにいい表情しないでよ」


「「はあ?」」


これが日常。

▼ 思わず書いてしまった(笑)
祥子ちゃんかわいいです、いや本気で。
お嫁さんになってくれないかなー…。
あと千尋さんが元ヤンならいいなと思いました!!
無自覚ラブラブな響と堀住。
うん、いいね!
こういうのは第三者になって眺めていたいものです!
いろいろごちそうさまでした!
稚拙な文でごめんなさい(泣)
十六夜 時人
Witten by 十六夜 時人

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