もしも。
もしも。
もしも堀住がモテてなかったら。
〜バレンタイン〜
「…今日もチョコ無し、か。
まあ、俺が欲しいのは響からだけだから!
いや、でも1つくらい…。」
「堀住ー。何1人でブツブツ言ってるの?」
「あ、いや、なんでもねーよ。帰ろうぜ!」
「ふーん。あ、そうだ!」
「どうかしたのか?」
「はい、これ。毎年恒例のチョコ!
今日バレンタインでしょ?」
「!!」
(天使…!俺モテてたらもらえてなかったかも…!!)
〜終〜
もしも。
もしも亮が腹黒だったら。
〜休み時間〜
「ねえねえ。」
「なんだよ?」
「いつになったらはるちゃんに告白するの?」
「ぶっ!!」
「もー、お茶をふかないでよー。汚いなあ。」
「おま、急に何言い出すかと思えば…!」
「オレとしては結城の恋が実ろうと実らなかろうとどうでもいいけど、見ててうっとうしいんだよねー。
告白するならさっさとしちゃいなよ。ただでさえ乙女チックな行動してるのに、
それで告白してないとかただのヘタレだよね。
それでも野球部か、っていうかそれでも男かって話だよね。」
「…。」
〜終〜
もしも。
もしも千尋が元ヤンだったら。
〜春野家の晩御飯〜
「それで堀住がね…」
(俺の、俺の響が笑顔で男の話をしてる…!
いくら結城の話でも俺の天使がこんなに嬉しそうにしてるなんて!
響が嬉しそうならまあいっか、なわけねーだろ!!
響の笑顔は俺にだけ向けてくれたら…
ああ、響が小学生の頃といったら…
あのかわいいかわいい顔で俺に笑って、あの可愛い声で「おにーちゃんっ」って呼んでくれたなあ。
あれって人を殺せるよな俺限定かもしれないけど。
よく考えたらあの頃からあのクソガキは響にぴったりくっついてたよな…。
ったく、思い出すだけで腹立たしい!!
響は優しくていい子だからあの(ピー)にも笑ってあげてて…
そういえば、いつからだっけ、響の口から「堀住」が頻繁に出てきたのは。
…思い出せん。ということはかなり昔からってことか!!
結城、いくら幼馴染でも許さないぞ…!!
今度会ったら(ピー)して(ピー)して(ピーーーーー)で…)
「―ちゃん、お兄ちゃん!!」
「え、あ、どうかした?」
「もう、何度呼んでも返事してくれないんだもん。」
「ごめんごめん。」
「あたし、先お風呂入るね。」
「…歩。」
「なーに?」
「兄ちゃん、明日人殺してるかもしれない。」
「…がんばれ。」
〜終〜
Witten by 十六夜 時人