「サンタさんがほんとにいたらいいのにね」


数日前、彼女はぼんやりとそんなことを呟いた。

だから今日、12月24日。

もうすぐ25日になるという深夜に俺は彼女の家の前へ来ていた。





なんども訪れたことのあるここの間取りは大体記憶に刻まれている。

彼女の部屋の窓の前まで来て、俺は忍び足を止めた。




カラリと慎重に窓をスライドさせる。

いつもここの鍵が開きっぱなしなのは俺だけが知っている秘密。

気持ち良さそうに眠っている彼女の枕元に、彼女が欲しがっていたプレゼントを添える。




名残惜しさに寝顔を見つめているとその口許がゆっくりと動いた。









「すき」







おでこにかかっている前髪を掻き分けて、俺は触れるだけのキスをした。



メリークリスマス、とだけ呟いて。

▼ 君のため。

雨宿り果樹園さま
X'mas企画へ提出
Witten by 君島 / 2010.12.01

inserted by FC2 system